素粒子のS行列を、解析性とユニタリー性だけから求めようとする理論のことをS行列の理論という。

概要

ハミルトニアンが与えられれば、原理的にはS行列を求めることが可能である。しかし結合定数のべき級数で展開する摂動論の方法は強い相互作用の場合には近似が悪く不適当である。そこでローレンツ不変性のほかに場の理論から抽出されたいくつかの基本的な原理(たとえばS行列の解析性とユニタリー性)をつかって観測量だけからS行列を求めようという理論をS行列の理論という。

初期の段階では、マンデルスタム表示とユニタリー性を使ってS行列を求めようとする試みが多かったが、その後発展してレッジェ極理論、双対性の理論などが生まれた。S行列理論では素粒子と複合粒子の区別がつかない。そこでどのハドロンもいくつかのハドロンの複合粒子であって、どのハドロンがより基本的であるとはいえないという見方が可能になる。この立場を核民主主義といい、ブートストラップの基礎となった考え方である。

参考文献

  • 『物理学辞典』 培風館、1984年

関連項目

  • S行列

【東京大学出版会 齋藤正彦 線型代数入門】第2章 §42 理論的補足 行列の基本変形、行列の階数 rank、ガウスの掃き出し法、逆行列の計算

S行列の計算法 EMANの素粒子論

Images of S行列の理論 JapaneseClass.jp

【電験一種一次 理論 (平成30年 問5)】2端子対回路とZ行列の計算(過去問徹底解説) YouTube

行列式の性質4