ギブズの相律(ギブズのそうりつ、英: Gibbs' phase rule)は、系の自由度を規定する式で、相と成分で次のように規定される。ギブズが発見した式で、単に「相律」ともいう。

F = C P 2 {\displaystyle F=C-P 2}

F は(示強性変数の)自由度、C は成分の数、P は相の数をいう。

相律の式の中の定数“2”は、温度T と圧力P の二つの示強性の変数から来ている。

なお、相律を相図における幾何学的法則とみれば、三次元におけるオイラーの多面体定理に対応することがわかる。

  • 1成分1相の場合は、自由度2。つまり温度と圧力の2個の状態量で状態を記述できる。
  • 2成分1相の場合は、自由度3。すなわち状態量に加えて1成分の割合を規定すればよい。
  • 1成分2相(例えば気相と液相が共存)の場合は、自由度1。従って、温度を決めれば飽和蒸気圧が決まる。
  • 1成分3相の場合は、自由度0。これは三重点を表す。

導出

系の未知数の数は、

  • 圧力:1
  • 温度:1
  • 各相の各成分のモル分率:各相においてC-1個の成分のモル分率を決定すれば合計が1であることから、残り一個の成分のモル分率は決定されるので、(C - 1)P

以上の合計 2 C P - P 個である。

一方、系を規定する拘束条件の数は

  • 成分νについて、各相の化学ポテンシャルが等しい:μ1ν = μ2ν = ・・・ = μPν (ν= 1, ... ,C ) の(P -1)C

以上の合計 C P - C 個である。

したがって、未知数の数から拘束条件の数を引いて、与式を得る。

関連項目

  • 熱力学
  • 相図

参考文献

  • 夏目雄平『やさしい化学物理』朝倉書店、2010年、85頁。ISBN 978-4-254-14083-5。 

脚注


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